日本学生ハーフマラソン総評
2019年3月10日(日)
この大会が彼らの集大成でした
こんにちは、作田です。
遅くなりましたが、3月10日(日)に開催された、日本学生ハーフマラソンを振り返ってみたいと思います。
私にとってもそうですが、北海学園大学陸上部長距離ブロックメンバーにとっても、思い出深いレースでしたので、敢えてこのタイミングで掲載したいと思います。
3年生はこのレースが終われば就職活動に専念し、4年生はこのレースを最後に一旦、競技から離れます。
なので、これに懸ける想いは相当だったはずです。
正直なところ、7名とも実力はほぼ横一線でした。
7名の中で、誰が一番になってもおかしくない状況だったのです。
しかし最後の1ヵ月、最後の2週間、そして残り1週間で誰が良くて、誰が良くないのかがわかってくるのです。
練習結果はもちろんですが、表情や、日頃の行動で見えてくるのです。
上り調子で良い結果を出せた者もいれば、ギリギリまで体が怠く切れのない者、貧血の症状と気づかず走った者、緊張し過ぎて実力を発揮できなかった者。
その時の明暗が、今想っても辛いですね。
ですが最終的に、今回の結果は、ほぼ妥当であったかと思います。
せっかく練習を積んできたのに、かわいそうですよね。
惨めで、哀れで、それでも気丈に振る舞って。
でも、そんなものです。
割り切らないと次に進みません。
レース後、大会会場にて
澤井玄 1時間08分43秒(自己ベスト)
澤井玄に関しては、レース3週間前(2月17日)に青梅マラソン30kmを走っており(1時間41分45秒/ave.3分24秒)、
正直なところ、もうなにもする必要はないと思いました。
なぜなら、彼の実力通りの走りができたからです。
なのでこの結果に欲を出し、余計なスピードや、強度の高いペース走を行って、調子を崩したくなかったのです。
今の調子をそのまま3月10日にスライドするだけで良いのです。
彼の性格は十分わかっているので、青梅マラソン後の1週間はリフレッシュさせました。
レース10日前に1000M×3本(3分05秒~3分00秒、余裕を持って)、1週間前に12000Mペース走(ave.3分20秒、ラスト2000M/6分10秒)、最後の1週間はジョグでつなぎ、前日に1km/3分10秒で余裕を持って終えました。
5km毎のLAP
16分09秒-16分09秒-16分09秒-16分38秒-3分38秒
10km毎のLAP
32分18秒-32分47秒
設定1km/3分15秒をしっかり守り、10km手前では笑顔で手を振って通過、かなり余裕があるようでした。
15km過ぎのアップダウンで一気に足に疲労が出た様子ですが、おそらく、シューズの影響でしょう。
ラスト5km付近では1kmあたり5秒落とし、険しい表情に変わっていました。
しかし、どうしても68分台を出したいという執念が、粘りに繋がったのだと思います。
高校駅伝の有力校に進んだものの、股関節の手術で結果を残せず、大学で再起を図るも2度目の手術。
多くはこの時点で走ることを辞めてしまいます。
3年間、ほぼ毎日みてきたので、彼の顔を見れば、何を想っているのか大体わかります。
「なぜ彼だけがこんなことに」
と何度も思いましたが、当の本人はどんなときもニコニコと朝練にやってきます。
それが彼の良いところでしょうか。
素直すぎるのが心配ですが、これからも厳しく優しく、見守りたいと思います。
4年生最後の大学駅伝
2018年8月29日(水)の朝練
昨年9月、伊達大滝にて
冬の朝練
学生最後のレースとなった日本学生ハーフマラソン
学生ハーフ後、3月12日(火)の朝練
4月9日(火)の朝練
4月9日(火)の帰宅ラン
北海学園大学卒業後、澤井玄さんは作.AC北海道に所属し、今後は仕事をしながら走り続けることになります。
これからもどうぞ、宜しくお願い致します。
山中一輝 1時間12分36秒
5km毎のLAP
16分33秒-17分04秒-17分23秒-17分49秒-3分47秒
33分38秒-35分12秒
一昨年12月に5000Mで15分44秒02を出したものの、夏の就職活動、その後、アキレス腱のケガで昨年11月あたりまで本格的な練習が出来ませんでした。
これまでの4年生は、就職活動を言い訳にして、3年生で競技を辞めてしまうのが常でした。
ところが、一輝は違いました。
卒業後の3月24日(日)の国士舘大学長距離記録会10000Mに出場(32分58秒49)、実質それが彼のラストランとなりました。
一輝とはもう一年、一緒に走りたかったです。
日頃から引き際もあっけないのですが、それが一輝なのです。
無表情で面白いことをいい、さりげなくどこかへ消えてしまう。
一輝と、またどこかで会いたいと切に願っています。
一輝、最後の大学駅伝は7区(16.30km)を走りました
最後のレースとなった国士舘大学長距離記録会
立派な社会人になってください
牧野祐季
1時間09分37秒
5km毎のLAP
16分15秒-16分38秒-16分18秒-16分51秒-3分35秒
32分53秒-33分09秒
祐季の強みは、勢い余った走りをせず、その時の自分の実力に見合った走りをするところです。
年末の不調から徐々に回復し、調子を上げてきました。
直前の12000Mも、先行するチームメンバーを追うことなく、39分台後半で余裕を持ちました。
この時点で、1時間09分台は出せるだろうと確信しました。
レース3日前の4000M調整走はave.3分15秒、大会当日も力みなく、予定通りの走りだったと高く評価します。
彼が結果を出した最大の理由は、なんでしょうね。
強いて言えば、素直になったところでしょうか。
ご飯を食べる時の彼のかわいらしさと言ったら(笑)
わんぱく坊やぶりを発揮しています
祐季と言えば、ネパールカレー
祐季と言えば、やよい軒
今年はフルマラソンに挑戦してください。
残り一年、宜しくお願い致します。
瀬能拓真
1時間09分52秒
5km毎のLAP
16分22秒-16分32秒-16分22秒-16分56秒-3分40秒
32分55秒-33分18秒
12月に風邪と熱、1月にインフルエンザ、そして2月に復調しました。
3月10日に向け一番上り調子だったのが、拓真です。
10分切りがボーダーラインぎりぎりの実力との説明をしたうえで、スタートから慎重にラップを刻むようにと話しました。
彼はいつも冷静で、鋭い観点を持っています。
本当にギリギリのところで10分切りを達成したのは、彼の数字の強さと賢さだと思っています。
実際にはアルバイトをしながら家計を助け、生活もたいへんなはずなのに、そんなことを感じさせることなく、
いつも屈託のない明るさで練習にやってくる姿が、胸を打ちます。
アシックスランニング講習会ではお馴染みですね
チームメンバーといる時が一番楽しいと話していました
いつもかわいがられています
川口大聖
1時間10分20秒
5km毎のLAP
16分26秒-16分27秒-16分38秒-17分02秒-3分47秒
32分53秒-33分40秒
正直、よくここまで練習を頑張った、というのが本音です。
おそらく入部したころは、まさかこんなに走るなんて大聖自身も思わなかったでしょう。
道徳的にも、2年前からは考えられないくらい、大きく成長しました。
この際、タイムは二の次です。
ただ、僅か20秒で10分切りを逃したのは、詰めの甘さです。
アップへ行く前の大聖
ラストスパートをかけるも間に合わなかった、大聖
昨年9月の学生チャンプ
残り一年、悔いのないようにね
島谷樹 1時間14分07秒
5km毎のLAP
16分38秒-17分27秒-17分54秒-18分13秒-3分55秒
34分05秒-36分07秒
一昨年のフードバレーとかち1時間11分36秒、昨年の伊達ハーフ1時間11分56秒と実力があるだけに、大会にうまく体調を合わせられなかったのが残念です。
大会前からの約1ヵ月、いつも疲労がある走りで、体も重そうでしたが何より、極度の上がり症なのが最後まで尾を引いたのだと思います。
誰より悔しかったでしょうが、仕方ありません。
しかし彼は、チーム屈指の笑いの王者で、私もこんなに面白い男に出会ったことはありません。
もっとも、大衆受けと言うよりは、マニア受けするタイプですが。
そこが彼の最大の魅力ですね。
地下鉄は乗らず、走って移動するのが樹です
祐季とは色々な話しをするそうです
裕介とのコンビネーションがいいですね
自分より相手を大事にする、ちょっと損なところが大好きです
私との共通点は杏真理子さんの大ファンだということです
田中亮太 1時間14分08秒
5km毎のLAP
16分46秒-17分22秒-17分42秒-18分26秒-3分52秒
34分08秒-36分08秒
昨年12月の日体大記録会5000Mで15分15秒84の自己ベストを出し、絶好調の亮太でした。
しかし、再び貧血に陥り、全く走れなくなってしまいました。
鍛えたら彼はチーム一の男になるでしょう。
油断と、甘さが彼の敵です。
昨年9月の学生チャンプ
絶好調でした
大草原の小さな家のアルバートに似ていると言われています
これからも宜しくね
純粋な彼らが、今後、少しずつ色づいて行くのは複雑な気持ちですが、
走ることに懸けた時間は、良い思い出となるでしょう。
最後の1年、宜しくお願い致します。